「え……?」
意外としか言いようがなかった。立候補してきた幡保 梢という男子生徒は、この学校でもすでに有名になるほど目立つ存在で。
綺麗に染められたアッシュグレーの髪と、耳にはたくさんのピアス。気崩した制服姿は漫画に出てくる不良そのもので。そんな彼が実行委員に立候補するなんてきっと誰も想像しなかったと思う。
「いいんですか、幡保君? 創立記念祭の実行委員は大変ですよ?」
クラス委員も私の時とは態度を変えて、心配そうに幡保 梢に確認をしている。むしろ本音は彼には実行委員になって欲しくないというところかもしれない。
私も何を考えてるのか分からない彼と一緒に仕事が出来るか不安を感じてる。
「別に、暇だし構わねえよ。それとも他にやりたい奴がいれば……」
「いや、幡保でいいよな? 意外と頼りになりそうだし」
「ああ、結構いい組み合わせじゃないのか? 二条院さんと幡保って」
そう誰かが言い出すとクラスの男子はみんな幡保 梢を推して、あっという間に彼は創立記念祭の実行委員になったのだった。
「あの、よろしくね? 幡保君」
「……よろしく、二条院さん」
笑顔で幡保君にそう言いながらも、私はこれから創立記念祭までしばらく気が重くなるな、と小さく溜息をついていた。