「どうしますか、二条院(にじょういん)さん。創立記念祭の実行委員を引き受けてくれますか?」

「あ……はい、私で良ければ」

 こうやって推薦されれば、本当は嫌で仕方ないのに断る勇気もない。作り笑顔で誤魔化しながら私も黒板の前に立ち、よろしくお願いしますと頭を下げた。
 高校入学したばかりだというのに本当にツイてない。

「それではあと一人、二条院さんと一緒に実行委員をしてくれる人いませんかー?」

 女子の中では私が決まったという事もあり、もうお喋りタイムになってしまってる。残り一人は男子生徒から選ぶことになるのだが、誰も手を上げようとはしない。

「お前やれよ、お祭りごと好きだろ?」

「ヤダよ、実行委員なんてきついだけじゃん。それに二条院さん真面目そうでつまらなさそうだし?」

 聞こえるようなその言い方にカチンとくるけれど、それでもただ笑っている事しか出来ない。私だって言いたい事を言えるのなら、あなた達みたい人となんてこっちから願い下げよ! とハッキリ言ってやりたいのに。
 けれど彼らの好き勝手な会話は止まらなくて。

「確かにな、俺もどうせ組むなら二条院さんみたいな女子じゃなくて……うわっ!」

「少し黙ってろ。……おい、俺でいいなら実行委員やってやる」

 そう言ったのはこのクラスで一番浮いた存在である、派手な容姿をした幡保(はたほ) (あずさ)だった。