「ではクラス委員二名が決定しましたので、次に創立記念祭の実行委員を決めていこうと思います。誰か立候補したい人ー」
この春、この誠道館高校に入学したばかりの私。
先生の紹介や学校の説明などを終えた後の学級活動で、最初にやる事は二名のクラス委員を決める事だった。運よく立候補者がいたので、すぐにクラス委員は決まったのだけどそれで終わりじゃなかった。
確か入学式の時の校長先生の話で、今年は創立百周年を祝って創立記念祭を行う予定だと聞かされた。なんでもかなり大きなイベントにするつもりらしい。
そんな大変そうな実行委員になんか絶対になりたくない、誰か立候補してくれないかと思う。だけど考えることはみんな同じなのか、誰一人として手を上げようとはしない。
「立候補したい人はいないみたいですね、では推薦したい人がいる場合はお願いします」
その言葉に顔を隠すように俯いて、目立たないようにしたつもりだった。
「はい、実行委員には二条院 詩織さんがいいと思います。彼女は成績も優秀だし真面目で責任感も強いですから」
手を上げた方を見れば、中学時代のクラスメイトが笑顔で私のことを推薦している。この子が私の事をこうして名前で呼んで褒めるのはいつもこういう時ばかりだった。
厄介な仕事を押し付けられる、都合のいいお嬢様。陰でみんなそう呼んでいる事もちゃんと知っている。
それなのに……