「はい、知っていました。」

すると父・藤原照明は立ち上がった。

「おまえと言う奴は……」

「お待ちください!」

父が扇を振り上げると、依楼葉がそれを止めた。


「父上様。隼也の話も聞きましょう。」

「聞くも何も、兄の妻を寝取るとは!」

父にそう言われると、桃花が顔を上げた。

「父上様。隼也様とは、枕を交わしてはおりません!」

「えっ!?」

これにもまた、依楼葉と父・母は驚いた。

枕を交わしていないのに、妻に欲しいと言うのは、どう言うことなのか。


「隼也、教えてほしい。なぜ、桃花なのか。」

依楼葉は、隼也に尋ねた。

「その方が、お互いの為によいと思うのです。」

「お互いとは、私と桃花の事か?」

「はい。」

そこで隼也は、ようやく顔を上げて、依楼葉を見た。


「兄様……いえ、姉様。もうご自分を偽るのは、お止め下さい。」

「えっ!?」

依楼葉と父と母は、目を大きくした。