そのあとは、なにがなんだかよくわからなかった。
 頭がぼうっとしてしまって、胸がずっとドキドキしていて、幸野の顔をまともに見ることができない。
 そんなわたしを見て、幸野は何事もなかったかのように笑って、わたしの手を握りしめる。

 ふたりで砂浜の上を歩き、夕陽が沈むところを見て、展望台から夜景をながめ、電車に乗って帰った。

 すこし混みあった車内で、幸野はずっとわたしの手を握りしめていた。
 そしてわたしも――その手を離そうとはしなかった。