それから幸野は、毎朝、家の近くでわたしを待つようになった。
 なぜか小学校のほうから歩いてくるみたいだけど、理由を聞いても「ちょっと用事が」なんて言って、はぐらかす。

 手をつないで駅まで歩いて、おんなじ電車に乗って、学校までの道を歩く。
 教室に入るとあかりたちが笑っていて、幸野とわたしのことを無視する。
 そのかわり、無視以外の嫌がらせはまったく起きない。

 そして放課後になると、幸野はわたしの席にやってきて言うんだ。
「池澤さん、一緒に帰ろう」って。