住宅街のゴミ置き場にゴミを捨て、のろのろと歩きだす。
ランドセルを背負った小学生たちが、学校に向かってにぎやかに歩いていく。
ひとりの男の子がサッカーボールを持っていて、なんとなくその子の背中を目で追ってしまう。
「え……」
そのときわたしは、驚いて立ち止まった。
子どもたちが向かう小学校の方向から、見慣れた制服を着た生徒が歩いてくる。
「あれ、池澤さん」
幸野だ。
「な、なんでそっちから来るの?」
幸野の家は国道に出て、歩道橋よりもっと先に行ったところだ。
駅もこっちじゃないし、なんで小学校のほうから来たんだろう。
「あー、今日はちょっと遅かったか」
「え?」
「じゃあこれから毎朝、この時間に来ようかな。そしたら池澤さんと一緒に登校できるし」
意味がわからない。
「おれたち、つきあってるんだもんな?」
幸野がとなりに並んで、わたしの顔をのぞきこんでくる。
わたしはあわてて、顔をそむける。
「な、なんで小学校のほうから来たのって聞いてるの!」
「ああ、ちょっとこっちに用があって」
幸野はいつものようにへらっと笑ってごまかして、ポケットに突っ込んでいた手を出す。
そしてその手で、わたしの手を握りしめた。
「一緒に学校行こう」
つながった手があったかい。心臓がドキドキしてくる。
幸野はなんでもないように、駅に向かって歩きだす。
「今日の体育、持久走だって。だるいよなー」
なんて、どうでもいいことをしゃべりながら。
ランドセルを背負った小学生たちが、学校に向かってにぎやかに歩いていく。
ひとりの男の子がサッカーボールを持っていて、なんとなくその子の背中を目で追ってしまう。
「え……」
そのときわたしは、驚いて立ち止まった。
子どもたちが向かう小学校の方向から、見慣れた制服を着た生徒が歩いてくる。
「あれ、池澤さん」
幸野だ。
「な、なんでそっちから来るの?」
幸野の家は国道に出て、歩道橋よりもっと先に行ったところだ。
駅もこっちじゃないし、なんで小学校のほうから来たんだろう。
「あー、今日はちょっと遅かったか」
「え?」
「じゃあこれから毎朝、この時間に来ようかな。そしたら池澤さんと一緒に登校できるし」
意味がわからない。
「おれたち、つきあってるんだもんな?」
幸野がとなりに並んで、わたしの顔をのぞきこんでくる。
わたしはあわてて、顔をそむける。
「な、なんで小学校のほうから来たのって聞いてるの!」
「ああ、ちょっとこっちに用があって」
幸野はいつものようにへらっと笑ってごまかして、ポケットに突っ込んでいた手を出す。
そしてその手で、わたしの手を握りしめた。
「一緒に学校行こう」
つながった手があったかい。心臓がドキドキしてくる。
幸野はなんでもないように、駅に向かって歩きだす。
「今日の体育、持久走だって。だるいよなー」
なんて、どうでもいいことをしゃべりながら。