「うー、頭痛い」
「莉乃。あんたまたお酒飲んでたの? 昨日何時に帰ってきたのよ?」
「んー、四時ごろ……」
「まぁっ、今日じゃない! まさか朝まで飲んでたんじゃないでしょうね!」
「お母さん、大声上げないで。頭にガンガン響く」

 キッチンで騒いでいるお母さんとお姉ちゃんの声を聞きながら、わたしは立ち上がる。

「行ってきます」
「ああ、莉緒、ゴミ出してって」

 お母さんにゴミの袋を持たされた。
 わたしは顔をしかめて、でも仕方なくそれを持ってキッチンを出る。

「いってらっしゃーい。莉緒ー」

 お姉ちゃんのだらけた声が背中に聞こえた。