「ひっ……」

 トイレの個室を出たとたん、水道の水をかけられた。

「あー、ごめーん、莉緒」
「かかっちゃったねー」

 きゃははっと笑うのは、優奈やクラスの女の子たち。
 わたしは濡れたジャージを見下ろす。

「でもジャージでよかったじゃん」
「似合ってるよー」

 女の子たちがけらけら笑いながらトイレから出ていく。
 わたしは黙ってハンカチでジャージを拭く。

 今日はいろんなことをされた。
 久しぶりに机にぞうきんを入れられたし、体育の間に着替えを隠された。
 だから制服の代わりにジャージを着たままなんだ。

 どうせ指示を出しているのは、あかりだろう。
 幸野が転校してきて、抑えていたわたしへの嫌がらせを、あかりは今日、爆発させているみたいだ。