「よかった。じゃあわたしも……」
「池澤さんは、サンドイッチが好きなんだよな」
幸野がぽつりとつぶやく。
「え?」
「四年生の遠足の弁当、サンドイッチだっただろ?」
そういえば、そうだったかもしれない。けど……
「な、なんで知ってるの?」
「見てたから」
「え……」
「ははっ、キモいって思っただろ? でもガチだから」
幸野はわたしを見て、いたずらっぽく笑う。
「見てたんだよ、ずっと。三年のときも、二年のときも」
「う、うそでしょ?」
「うそじゃねぇよ。だから知ってる。普段おとなしいのに、泣いてる子がいるとまっさきに駆け寄っていくところとか、転んでケガした子がいたら、自分のことはそっちのけで保健室に連れていくところとか」
信じられなかった。
幸野は四年生のとき、お兄さんの事件でお姉ちゃんを知って、それで妹のわたしのことも知ったんだと思っていたから。
わたしの記憶が、急速に過去に遡っていく。
そして忘れていたひとつの記憶が、突然頭によみがえる。
そこにいた男の子の顔は、よく覚えていないけど……
「池澤さんは、サンドイッチが好きなんだよな」
幸野がぽつりとつぶやく。
「え?」
「四年生の遠足の弁当、サンドイッチだっただろ?」
そういえば、そうだったかもしれない。けど……
「な、なんで知ってるの?」
「見てたから」
「え……」
「ははっ、キモいって思っただろ? でもガチだから」
幸野はわたしを見て、いたずらっぽく笑う。
「見てたんだよ、ずっと。三年のときも、二年のときも」
「う、うそでしょ?」
「うそじゃねぇよ。だから知ってる。普段おとなしいのに、泣いてる子がいるとまっさきに駆け寄っていくところとか、転んでケガした子がいたら、自分のことはそっちのけで保健室に連れていくところとか」
信じられなかった。
幸野は四年生のとき、お兄さんの事件でお姉ちゃんを知って、それで妹のわたしのことも知ったんだと思っていたから。
わたしの記憶が、急速に過去に遡っていく。
そして忘れていたひとつの記憶が、突然頭によみがえる。
そこにいた男の子の顔は、よく覚えていないけど……