わたしは今日も学校へ行く。
 教室に入ると、あかりの甲高い笑い声が聞こえてくる。

 あかりのまわりには、今日も取り巻きの女の子たちと、数人の男子が集まっている。
 そのなかに幸野の姿を確認して、わたしはなぜかホッとするのだ。

 あんなひどいことをされたのに。
 あかりたちとわたしのことを、笑っているかもしれないのに。

 それでもわたしは、幸野にいてほしいと思ってしまう。
 この教室に今日も、いてほしいと思ってしまう。

 一日自分の席でじっと授業を受け、放課後になる。
 幸野はあかりたちと一緒に教室を出ていく。
 その姿を確認してから、わたしも教室を出る。

 歩道橋で立ち止まり、遠くをながめながら、ただぼんやりと時間をつぶす。
 こんな自分は変だと思う。
 きっとわたしはどこか狂っている。

 あたりが暗くなったころ、幸野が歩道橋にやってくる。
 わたしは耳を澄まして、その足音を聞く。
 今日も幸野はなにも言わないまま、わたしの後ろを通り過ぎていった。