いま来た道をのろのろと戻る。
 頭のなかでは、いろんなことがごちゃ混ぜになっている。

 お姉ちゃんのこと。幸野のお兄さんのこと。幸野のこと。
 いじめたひと。いじめられたひと。その仕返しに、またいじめたひと。
 悔しくて、悲しくて、寂しくて……わたしはどうしたらいいのか、わからない。

 家の近くで曲がって、小学校へ行ってみる。
 校庭では赤白帽子をかぶった子どもたちが、体育の授業でボールを蹴っている。

 楽しそうな声を聞きながら、ふと校庭の向こうにある、団地に目を向けた。
 昼間でも薄暗い、幸野が住んでいた団地だ。
 わたしは引き寄せられるように、そこへ向かって足を速めた。