「莉乃どうしたの? 具合が悪いって……大丈夫なの?」

 わたしが連絡すると、パート先からお母さんが帰ってきた。
 わたしに抱きかかえられるようにして家に戻ったお姉ちゃんは、トイレで何回か吐いたあと、寝込んでしまった。

「うん……なんか気持ち悪いみたいで……お母さん、そばにいてあげて?」

 お母さんはわたしの前で不思議そうな顔をすると、お姉ちゃんの部屋へ向かった。

「莉乃ー? 具合はどうー? 病院行こうか?」

 お母さんの声を聞きながら、深く息を吐く。
 そして顔を上げると、わたしは制服のまま、ひとりで家を出た。