「うわっ、やっぱこえーわ、おまえら」

 男の子たちの声がする。
 あかりがすぐに言い返す。

「うるさいなー、一番ひどいのは悟だからね。あたしのこと殺すとか言うから、マジで莉緒の味方なのかと思ったら、すぐに『本気にした?』なんて言ってきてさぁ。ガチで騙されたわ。最初から莉緒をからかうつもりだったって、ひどすぎでしょー、この男」

 あかりの甲高い笑い声が響く。
 そのとなりで幸野も笑っている。
 わたしは椅子から立ち上がり、そんな幸野に向かって言う。

「あの写真、あんたが流したの?」

 幸野は笑うのをやめて、わたしを見る。

「そうだよ」
「撮影したのも?」
「もちろん」

 涙が出そうになるのを、ぐっとこらえる。

「言いつけなよ、お姉ちゃんに。幸野くんにひどいことをされたって」

 幸野の口元がゆるむ。

「お姉ちゃんは莉緒のことが大好きだから、激おこかもしんねーなぁ」

 なんで? なんでそんなこと……
 頭のなかがぐちゃぐちゃになって、もうわけがわからない。

 幸野の笑い声を聞きながら、わたしは教室を飛びだした。