今日の空はどんよりとした曇り空だった。
 空気はひんやりとつめたい。
 騒ぎながら学校へ向かっていく、小学生たちの姿が見える。

 わたしはポケットからスマホを取り出し、時間を確認した。
 いつもだったら小学校のほうから、幸野が歩いてくる時間だ。
 家を出るのが遅かったから、いまから団地に行ってももういないだろう。

 ちいさくため息をつき、その場で幸野が来るのを待つ。
 わたしは幸野の連絡先を知らない。
 最近はわたしにメッセージを送ってくる友だちもいない。
 だからスマホは時計代わりに使っているだけだ。

 しかしいつまで待っても、幸野が来る気配はなかった。
 もしかしてもう、先に行ってしまったのかもしれない。
 もう一度ため息をつくと、わたしはひとりで駅に向かって歩きだした。