真面目に言ったのに、笑いで返された。

いつの間にか車は、バイパスに入って、真っ直ぐ海へ向かう。

「ねえ。どうしてデートシーンで、海に行くの?」

「ん?ああ……主人公二人が出会うのが、海なんだよ。」

「出会いが海なの?」

「そう。そんで新学期が始まって、二人は担任と教え子という形で再会するんだ。」


いつも黙々と書いている先生。

まさか小説の内容を教えてくれるなんて、思ってなかった。


「さっきの会話も使うの?」

「さっきの?」

私は体を先生の方に向けた。

「レンタカーで親戚だって、ウソついた事。」

「ああ!」

先生はしばらく迷った後、笑いながら言った。

「使っちゃおうかな〜」

あまりにも先生が楽しそうに話すから、私も楽しくなってきた。

「やっぱり〜?」

「ウソ。使わない。」

「そうなの?」

「やっぱ使う。」

「もう〜どっち〜?」


そう言いつつも、どっちでもよかった。

先生と楽しく時間を過ごせれば。