「鍵はこちらになります。書類は、運転席の脇に挟んでおきますね。」

レンタカーのお店のお姉さんに説明を受け、先生はいつもと違って、好青年のオーラを出している。

お父さん以外の人が運転する車。

それだけで、ワクワクドキドキする。

その気持ちが伝わったのか、お店のお姉さんと、ばっちり目があった。


さすがはサービス業。

嫌みのない満面の笑みに、こちらまで笑顔になる。

「可愛い方ですね。彼女さんですか?」

お姉さんの質問に、ドキッとする。


私、先生の恋人に見えるのかな。


でもそのドキドキもつかの間。

「いえ。従姉妹の子供なんですよ。」

「へえ。」

そう言って先生は、お姉さんから鍵を受け取り、颯爽にレンタカーへと乗り込む。

なんでそこで、否定するかな。

「はい、芽依ちゃん。早く乗ってね。」

肝心の先生は、乙女心全く理解せず。

私は不機嫌な顔つきで、レンタカーに乗った。