年配の人になると、周りを見てないようで、よく見ている。

「ええっと……この人は、」

しかも先生、困ってるし。

「親戚の者です。」

「親戚?」

ちょっと大家さん、年寄りなのに眼光鋭いよ。

「はい。私のお母さんの従兄弟です。ねえ、孝ちゃん。」

「孝ちゃん!?」

私は余裕の笑顔で、大家さんをすり抜けた。

「じゃ、そう言う事で!大家さん、また!」

気を使いながら後を付いてくる先生。


「思いきった事言うな。俺はいつからお前の母親の従兄弟になったんだよ。」

「ついさっき。」

「悪い女。」

「機転が利くって言って。」

だってせっかく塾をズル休みしてまでの、先生とのデートだもん。

邪魔なんて、入ってほしくないもんね。


「で?海まで何で行くの?」

「ああ、駅前でレンタカー借りる。」

先生が指差した方へ、一緒に歩く。

なんだかワクワクする。

先生の運転で、海までドライブだ。