私の頭を撫で撫でして、先生はキッチンを後にする。

「それにさ。今の時代、男も皿洗いするよ。」

私は先生の後を、付いていく。

「二人ですればいいんじゃない?」

「……うん。」

私が微笑むと、先生も微笑む。

そして私は、心までぽかぽかしてくるのだ。


「早く出掛けよう。」

「うん、行こう行こう‼」

二人でバッグを持ち、玄関を出た。


「あら、平塚さん。」

声のする方を向くと、年配の女性が一人立っていた。

「これはこれは、大家さん。お久し振りですね。お元気でしたか?」

すると大家さんは、先生と仲がいいのか、私にお構い無く近づいてきた。

「ええ。元気でしたよ。あなたもお元気そうね。」

腰が半分曲がっているシワクチャのお婆さんだと言うのに、先生を見て生き生きしている。


先生は生徒だけではなく、こんな年配の人にも人気なのだろうか。


「ところで平塚さん。この方は?」