なんでわかっちゃうかな。

私は観念して、頷いてみた。

「昼間、この辺で使ってなかったっけ?」

はい。

そんな事をまで、知ってるんですか。


「あっ、ほら。あった。」

先生が探し当てた場所。

そこはベッドの下だった。

なんで、そこ!?

先生から辞書を受け取りながら、反省。


「有り難うございます。」

「うん。」

辞書から手を離しても、先生は一向に立ち上がらなかった。

「しっかし、ベッドの下って。どこをどうしたら、そんなとこに辞書置けるんかな。」

この一言が、私の胸に刺さった。

「どうせ子供です。」

「へっ?」

先生が呆れた顔で、私を覗き込む。

「子供だから、変な場所に物を置いちゃうんです。」


受け取った辞書を持って、先生に背中を向けた。


「もしかして、昼間言ったことまだ気にしてんの?」

私は手をぎゅっと握った。


また子供だと思われた。