「ほら俺、定職に就いてないだろう?だから女の子はみんな不安がって、一緒に住むまでいかないんだよね。」

「はあ……」

なんだか、その相手の気持ち。

よくわかるような気がする。

「とりあえず今日だけだったけど、朝からずっと一緒にいてさ、心の底からスゲー楽しいって思えたよ。」

外から降り注ぐ柔らかな日差しの中、ニコニコ笑う先生を見て、私の方こそ心の底から楽しいと思った。

「私もです。」

日差しと、先生の言葉のおかげで、心がぽかぽかしてきて、私も先生の横にゴロンと横になった。


「私、実は先の人生迷ってて。」

「へえ。」

「なんとなく大学に行って、なんとなく就職して、なんとなく恋愛して、なんとなく結婚して。みんながしてるからとりあえず、そうやって生きていくのかなって。」

流されて生きて行くわけじゃないけど、人と違う人生があるなんて、思いもしなかった。