「俺の側にいたい?」

「先生……」

真剣な目。

吸い込まれそう。

「正直な気持ち、聞かせて。」


胸がきゅうっと締め付けられる。

「うん……側にいたい。」

そして、そっと目を閉じた。

ねえ、先生。

ここでいつものように、私の唇を奪って。


ねえ、先生。

早く。

早く、待ってるんだから。

奪っ……

奪っ……


そっと目を開けると、そこには原稿を書く先生が。

「ちょっと先生!」

「ん?」

どうかしたかと言わんばかりに、無表情でこちらを振り向く先生。

「ひどい!私、待ってたのに!!」

「えっ?何を?」

ガクッと項垂れる私。


いや、芽依。

ここで負けちゃダメ。


「何って……キスに決まってるでしょ。」

少し小さい声で答えた。

聞こえたかな、先生。


「えっと、『キスしてほしかったな、先生……』っと。」


はっきり聞こえてるし!

しかも小説に書いてるし!!