期待外れ。

「してません。」

「嘘つけ。さっきからお前の心臓、ドキドキうるさいし。」

「してませんってば!!」

淡い期待が打ち砕かれた事と、先生の発言に期待していたことを見透かされた私は、そのまま寝室に戻ろうとした。


「待てよ。」

「嫌です。」

「待てってば‼」

聞いた事がないような怒鳴り声と一緒に、私は先生に後ろからきつく抱き締められた。

「ごめん……機嫌直して。」


ただ虫の居所が悪いだけと思っているのと、機嫌を直したところで、二人の関係が変わるわけでもない事が、余計に私を不機嫌にさせる。

「……あのさ、今度海に行こうか。」

突拍子もない誘いに、私は思わず振り向く。

「本当?」

「本当に。」


先生と二人きりでデート。

これで、私の不機嫌は解消された。

「機嫌直ったね、お嬢さん。」

「うん、直った。」

「現金な奴。」