すると先生は、私の背中を優しく撫でてくれた。

「まだ……二人でまったりしたいよな。ごめん。」

私は、じっと先生を見つめた。


今の先生だったら、たぶん引き留めたら『はいはい。』と、子供の我が儘に付き合うように、ベッドに戻ってくれるだろう。

でもそんなのは、嫌。


「いいよ。許してあげる。どうせ寝る前も抱いてくれるんだし。」

「違いないや。」

そう言って先生は、欠伸を一つして、居間に向かった。


タバコに火をつけて、カリカリとペンを走らせる音がする。

今までの中で、一番軽快だ。


気になる。

どんな内容で、そんなにはかどっていると言うのだろう。

私は、先生のペンが止まるのを見計らって、後ろから先生に抱きついた。

「せ~んせ!」

「うわっ!びっくり!!」

本気で驚いている先生が、癪にさわるけれど、めげずに原稿を覗き込む。

「どんな内容?」

「ん?ああ、まあ、あれだ。」