「ったく……ヨダレ垂らすなんて、もっと大人になれよ。」

先生の飽きれ顔に、胸がズキッと痛くなる。


「………私だって早く大人になりたいもん。」

無意識に両足を、胸に抱き抱える。

「早く先生に釣り合う女になりたい。」


言ってから恥ずかしくなって、顔が赤くなる。

「ごめんなさい。変な事言いました。」

そして、先生に背中を向けようとした時だ。

先生の温かいぬくもりが、私を包んだ。


「そんなに早く、大人にならなくていいから。」

そう言って、私を抱き締める腕が、強くなる。

「なんか先生、わかんない。さっきは大人になれって言ったり、今度は大人になるなって言ったり……」

「そうだよな。すまん。」


先生はずるい。

そんな事言われたら、何も言えなくなる。

私は、私を抱き締める先生の腕を、そっと撫でた。


「うん。」

そう言って先生を見つめたら、お互いの唇が重なった。