「ねえ、そう言えばさ。」

美羽ちゃんが、私の腕を肩から外して、顔を寄せてきた。

「去年、産休代理でうちのクラスに来ていた平塚先生っていたでしょう?」

「う、うん。」

一瞬、ドキッとした。

「先生ね、この辺に住んでるんだって!」


な、なんでそんな事知ってんの!


「そ、そうなんだ……」

「なによ、芽依。そんなの関係ないって顔して。」

「そうかな。」

私は美羽ちゃんとは、正反対の方向を見た。

「あれれ。平塚先生の事、好きって言ってなかったっけ?」

「そう……だったかな。」

「そうよ!だから平塚先生へのプレゼントに、こっそり電話番号入れたら?って言ったじゃない。その後、どうなったのよ。連絡来た?」


去年の事を知っている美羽ちゃんに、いろいろ聞かれるのはちょっと困る。


「ないよ。」

「ウソ~。」

「あるわけないじゃない?先生と生徒だよ?」

「そっか。」