「芽依……」

すぐ側で、先生の息使いが聞こえてくる。

まるで夜、ベッドの中で先生に抱かれているかのよう。


頭がクラクラする。

私だって先生と一緒にいたい。

ずっと先生とこうやって、抱きしめ合って。

朝も昼も夜も、すぐ傍で先生を感じていたい。


「先生……」

このまま、今日塾、さぼっちゃおうかな。

そう思って、私も先生の体をギュッと抱きしめた時だ。

「すまん。塾に行く前に。」

先生は私の背中を、ポンっと軽く押すと、名残惜しそうに私から離れた。

「遅刻する。早く行け。」

そして、私のバッグを持ってくれた。

「あ、ああ……」

甘い雰囲気もどこへやら。

慌てて下着を直して、私は先生からバックを受け取った。


「行ってきます。」

「気いつけて。」

軽く手を振っている中、玄関の扉はゆっくり閉まった。