時折、自分の感情を抑えてまで、私が先生を感じているのを見ている。

恥ずかしい反面、胸がいっぱいになるくらいの、幸せを感じる。


「芽依……芽依っ……」

こんなにも近くで、自分を切なく呼ぶ人を、愛おしいと思わない人が、この世にいるんだろうか。

それが10歳も年上の人だろうが、同級生だろうが。

私は構わない。

目の前にいる先生が。

平塚孝太郎と言う人が、愛おしくて愛おしくてたまらないのだ。


「せんせえっ……!」

自分の気持ちが爆発する前に、先生の身体が脈を打ち、また私の体に倒れ込んだ。


言えない。

言えなかった。

自分の気持ち。

こんな時じゃない限り、言ってはいけない気がして。

私はまた、胸の奥に自分の気持ちを閉じ込めてしまった。


「どうした?芽依。」

倒れ込んだ先生は、甘い声で私を呼んだ。

「ううん……」

クタッと私の横に身体を放りだしても尚、私を優しく見つめる瞳が、そこにはあった。