私の胸はジーンと熱くなった。

「だから……あまり楽しい、」

「はいはい!」

私は授業の時のように、右手を高く上げた。


「午前中は私、塾に行くし。午後は受験勉強するし。決して先生の邪魔はしません!」

「えっ……おまえ、海の家にバイトに行くって言ったのに、塾には行くって、親に嘘だってバレないか?」

私は目が点になる。


「……気付かなかったのかよ。」

「えっ、あ、いや、その……」

「なんだよ。」

私は上げた手を、そっと降ろした。


「親には、電車で塾に通うっていう約束で、許可貰ったんだよね……ほら、電車代も……」

私はバックの中から、封筒に入ったお金を見せた。

開いた口が塞がらない先生。

「ははは……」

笑うしかない私。


だってそれしか、先生と一緒にいる方法がなかったんだもん。


「わかった。とにかく受験勉強だけは、サボるなよ。」

そう言って先生は、パソコンに向かった。