次の日の朝。

私はボストンバックに、数日分の下着と洋服を入れて、先生のマンションの前に立っていた。

勢いよく鳴らしたベルの音に、疲れた顔の先生が、玄関のドアを開けた。

「おはようございます。先生。」

「おまえ……」

私は玄関のドアをこじ開け、マンションの中に入った。

「早速受験勉強に来ました。」

「だからって言って、こんな朝早くに……」

焦った顔。

予想通りのリアクション。


「お邪魔しま~す。」

私は拒否される前に、靴を脱いでリビングへと急いだ。

「おい!」

案の定、先生に呼び止められる。

「何なんだよ、その荷物。」


やっぱ、気になるよね。

ボストンバックで、遊びに来られたら。


「お前、何考えてるんだ。」

先生は困った顔をしている。

知らずに胸がズキッと痛む。

でも、一生に一度のことだと、思い切って決めたこと。