きっと駅は、知っている人もたくさんいるから、私と一緒に歩きたくないのだと思った。

「身体、大丈夫か?」

「えっ?」

「すまん。なるべく優しくしたつもりだったんだが……」

「うん……とても、優しかった、です……」

お互い照れたように、固まってしまって。

絶対周りの人には、可笑しく見えているはず。


「今度、いつ会えるの?」

次の約束は、私から切り出した。

「うん。」

先生からははっきりとした答えは来ない。

「藤沢。」

「はい。」

「もう少し歩こうか……」

先生は駅に向かって、歩き始めた。


寂しい。

今度いつ会えるかわからないまま、別れに向かって歩き出すなんて。

「おいで。」

先生は私を自分の横に、連れて来てくれた。


「あのさ、藤沢。」

優しい口調。

「俺、もうお前の教師じゃない事は、確かなんだけど。」

「…はい。」