「もう無理。」

若いから熱くても平気だなんて、言ってらんない。

若くても熱いものは、熱いのだ。

私は辺りを見渡すと、交差点を渡った場所にある大きな本屋と駆け込んだ。


「涼しい!!」

ガンガンとクーラーがついている店内は、まるで天国のように思え、しばらくの間、入口付近で立ち止まっていた。

すると後ろから歩き越されたおじさんに、ジロッと睨まれようやく当てもなく、店内を彷徨うことにした。


ファッション雑誌に、旅のガイド本。

夏休みの読書感想文用の、文庫本が並ぶ。

楽しい物はすぐに目につく。

面白そうなタイトルが目につき、手にとっては置いてあった場所へと戻した。

そうしてどれくらいの時間を潰したか、私の目に赤本が入ってきた。

ああ、そう言えば私、受験生だったんだっけ。

急に現実に戻されたように、私の足はその場所へと向かった。

立ち止まり、自分が受験する大学の名前を探す。