「好きになるのは、ちょっと顔が地味でも、スタイルがいい娘。中身は料理好き。頭が良くて、よく笑う明るい人。」

それを聞いて、重い何かが頭の上に乗る。

何一つ私に当てはまっていない。


「付き合うなら、」

「まだあるの?」

「うん。年齢は俺の歳、+-3歳。と言っても、5歳くらいまではあり得るかな。」

腕を組み、やや右斜め上を眺める先生とは対照的に、足を組み、ひたすら下を向く私。

なんだろう。

ものすごく打ちのめされた、この気分。


「でもそれって、相手を心から好きかって言ったら違うんだよな。」

「えっ?そうなの?」

また急に知らない世界へ。

「そう。ただ自分がいいなって思う条件に、当てはまっただけ。」

「それって充分に、好きになり得ると思うけど。」

自分のタイプに当てはまるだけで、私は恋に落ちる。


単純と言えば、単純だけど。


「じゃあその人をもっと知って、実は自分の条件から外れてしまうとしたら?」