海から帰ってきた後、先生は徹夜する事が多くなった。

「先生、まだ寝ないの?」

夜中、眠い目を擦りながら先生のいるリビングへ向かう。

「起こしたか?」

先生は以前にも増して、私を可愛がってくれる。

隣に座ると、頭を撫でてくれるのも、その中の一つだ。


「ううん。私は別な部屋だから眠れるけれど、先生が眠れないんじゃない?」

「まあ、そうだな。コンテストの締切が今週末だからさ。ラストスパートで書かないとね。」


余程時間が惜しいのだろう。

私と話ながらも、物語を書いている。


「結局、教師と生徒のお話にしたの?」

「そう。ただの恋愛モノじゃなくて、純愛にしたいんだ。」

先生の口から純愛だなんて。

ちょっと笑える。


「俺、今まで恋愛って……どこか条件がつくものだと思ってた。」

「条件?」

まだ恋愛経験も浅い私には、そんな話でさえ新鮮に聞こえてくる。