「平塚先生?」

聞き覚えのある声がした。

「やっぱ平塚先生だ。」

一人近づいて来た姿を見て、私は先生から離れた。


この人、隣のクラスの男子だ。


「葉山じゃないか。久しぶりだな。元気か?」

「はい。先生も元気そう。」

「はははっ!そうだな。」

楽しそうに話してる中で、葉山と呼ばれた男子生徒は、私をちらっと見た。


「……藤沢?」

体がビクッと動いた。

「隣のクラスの藤沢だろ?なんで先生と一緒にいるの?」


バレた。

先生と一緒にいるところを見られた。

「まさか、二人………」

私と先生を交互に見るその目は、私達を疑っている。

「そんなわけないだろ。」

先に否定したのは、先生だった。

「藤沢とはさっきここで会ったんだよ。」

「へえ………」

そして私をじーっと見る葉山君。


「そっか。そうだよな。先生、彼女いるしな。」


葉山君の言葉が、胸に突き刺さった。