今年の夏は、異常な程に熱い。

容赦なく照りつける日差しは、今年買ったばかりのワンピースを通り抜け、日焼けスプレーを塗った腕にまで、ジリジリと焼き付いてくる。

こんな日は、外になんか出たくなんかなくて、一日中家の中でゴロゴロしていたかった。

だけど、そこは受験生。

高校最後の夏は、一生を決める大事な季節なわけで。

大した夢もないくせに、みんなが行くからと言う単純明快な理由から、駅前の大きな塾へと通っていた。


「熱い……」

額を伝う汗を手で拭いながら、終わったばかりの塾からの帰り道を満喫していた。

「それにしても熱い……」

勉強は涼しいうちが、頭に入るからと塾の授業はいつも午前中。

そしてお昼になると、“受験に必要だから”と頭にギュウギュウ知識を詰め込んで、塾を出てくる。



一日のうちで、一番気温が高くなるこの時間に、だ。