ああ、どうしよう。嬉しくて仕方がない。

そして帝を見ると、結子様の隣に座っている。

いつ見ても、美しい方だ。


「新しく女房を雇ったのだね。」

「はい。晴子は、漢詩も読めるのですよ。」

「漢詩も?それは優秀な女房だ。」

私の事で、二人が盛り上がっている。

女房としては、嬉しい限りだけど、なぜか胸が痛い。


しばらくして、帝はお役目に戻る為に、立ち上がった。

周りに合わせて、私も頭を下げる。

すると、帝がまた私の目の前で止まった。

「明日も来る。晴子、漢詩でも聞かせておくれ。」

「はい。」

私はドキドキした。

明日も来ると、言ってくれた。

もちろん、結子様に仰ったのだけど。


そして、涙を拭いてくれた手。

とても温かった。

今でも、その温もりが残っている。