そして私は早速、父にそれを報告した。

「それは良かった。母上も、さぞ喜びになるだろう。」

父の嬉しそうな表情を見たら、ほっと一安心した。

「そうだ。この際、名前も変えよう。」

「ええ?名前をですか?」

父は、顎に手を付けて、楽しそうに考えている。

「うん。晴子という名前はどうだ?」

「晴子……いいですね。そうしましょう。」

密かに、”子”が付く名前に、憧れていた。

”子”が付く名前は、上流階級の名前だと思っていたから。

私は、くすぐったい思いで、名前を晴子に変えた。


そして、その日は意外に早く、やって来た。

帝のお渡りが、あったのだ。

私は、部屋の一番下座に座っていた。

「帝のお渡りです。」

頭を下げると、帝が私の目の前で止まった。

「そなた、確かはるだったな。」

「はい。」

まさか顔を上げる訳にもいかず、返事だけをした。

「お気づきになりましたか。帝。その者は、晴子と名を変えています。」

結子様が、代わりに言ってくれた。