たったそれだけで女房になれるのであれば、皆そろって木にはりつけにされたいだろう。

それだけ、帝の妃の女房とは、人気のお勤めだ。


「それだけでは、お受けできません。」

「そなた!結子様の申し出を、断るのか!」

側にいた女房に、怒られた。

「まあ、よい。それだけか……そうよのう。そなたの才能を買っての事じゃ。」

「才能……ですか。」

結子様は、ニコッと笑った。

「妾は、そなたが勤めの間をぬって、熱心に本読みをしている事を、知っておる。その知識で、妾を支えておくれ。」

「結子様……」


結子様は、帝と話した事のある私を、嫌がっているのだと思っていた。

でも、私のそんな部分を、買ってくれていたなんて。

「分かりました。そのお話、お受けいたします。」

こうして私は、結子様の女房となった。