私は、そんな父である秀行の思いに応えようと、暇を見つけては、勉強に励んだ。

周りからは、雑士女がそんな勉強したって、たかが知れていると言われた。

そんな私を、一人前の姫君にしようと、勉強を助けたのは、他でもない叔父の秀裕だった。


「どうだ?勉強の方は、進んでいるか?」

「はい。いつも本を持って来て下さって、ありがとうございます。」

左大臣が来ているのだから、さすがの結子様も無下にはできない。

たくさんの本をいつも読んでいる私を、見て見ぬ振りをしていた。


そして、その頃からだった。

藤原秀行には、賢い姫がいるという噂が立ち始めた。

だが、相手は何分、雑士女。

下手に相手をしても、妻にするには身分が低すぎる。

公達の中には、私と一度会ってみたいという人も、少なからずいた。


さて、この頃から帝の結子様へのお渡りが少なくなってきた。

帝は、新しい妃を迎えたのだ。

そちらの相手に、帝は忙しいみたい。

結子様も元気が無さそうだ。