それを見た秀裕殿は、今回の話を諦めてくれたようだ。

その代り、はるの良き伴侶を探す事を手伝おうと、言ってくれた。

それを聞いて、私は少し寂しかった。

これで、あの美しい帝とは、一緒になる事はないのだと、分かったからだ。


どんな人が、私の伴侶となるのだろう。

父上のような人がいいなと、少し思った。


「なあ、はる。」

最後に秀裕殿は、こそっとこんな事を言ってくれた。

「そなたは、帝を慕っているように思えたのだが、私の間違いだったかな。」

「はい。」

私は、微笑みながら返事をしたけれど、ちょっと怖いとも思った。

私の気持ちが、周りに知られてしまったら、結子様にどう思われるだろう。

それだけが、心配だった。