「どうした?はる。」

私は、父の顔を見た。

「心配しなくてもいいぞ。父は、はるの幸せを願っているからな。」


私の幸せを願ってくれる。

それが、本当の親なんじゃないの?


「ごめんなさい。このお話は、なかった事に。」

「ええっ!?」

「どうしてだ、はる。」

父も秀裕殿も、突然の断りに、驚いている。


「確かに、良い家柄だとは思います。でも、私を拾ってくれたのは、父上です。」

「はる……」

「その父上への恩も忘れて、私だけいい思いをする訳にはいきません。」

私がそう言うと、父は困っていた。

「はる。そう言ってくれるのは嬉しいが、私の事は気にしなくていいのだよ。」

「いいえ、父上。私は、父上の元から嫁ぎます。」


すると父上は、私をぎゅっと抱きしめてくれた。

今までこんなに、きつく抱きしめてくれた事はない。

「はる。ありがとう。」