私は、驚いて茫然としてしまった。

「養女の話?」

「そうだ。兄の藤原秀裕から、はるを養女にしたいと、言ってきたのだ。」

胸がざわつく。

確か、帝と話をした時、家臣の人とも話をした。

その人が、父の実の兄である藤原英裕という人だった。


一度会っただけで、養女にしたい?

どうして?


「父上は、どう思われるのですか?」

「よい話だと思う。兄上は、私とは違って、左大臣をしている。左大臣の娘になれば、宮中でも女房になれるし、もしかしたら入内も叶うかもしれない。」

「入内⁉」

入内と言えば、帝の妃になる事だ。

あの美しい人の、妃になれる。

「三日後辺りに、兄上の屋敷に行こうと思う。はる、一緒に行こう。」

「はい。」

私は、とりあえず返事をした。