私は、言うか言うまいか、迷った。

自分が貰い子だと言う事を、この人に言っていいものか。

「そんなに警戒しなくてもよい。私は、秀行の実の兄だ。」

「では、叔父上様ですか。」

「そうなるな。」

父の実の兄ならば、話しても仕方がないと思って下さるだろう。

「実は、私は孤児だったところを、父に拾われたのです。」

「そうだったのか。」

叔父上様は、うんうんと頷いてくれた。

よかった。悪い人ではないみたい。

そして叔父上は、帝に呼ばれ、行ってしまった。


それから数日経った頃だ。

父が、宮中にやってきて、私を訪ねてくれた。

「どうだ?はる。息災か。」

「はい。」

「今日はな、大切な話があるのだ。」

父は神妙な顔をして、私と向き合った。

「実はな、左大臣である兄の秀裕から、はるを養女にしたいという話が来たのだ。」