そんな私に、不幸が訪れた。

母さんが、流行り病を悪化させて、亡くなってしまったんだ。

「母さん……」

涙を拭いて、私は母さんを、庭にある父さんのお墓の横に、葬ってあげた。

母さんは、いつも父さんにお墓に、話しかけていた。

恋しい父さんの隣にいられて、今頃母さんは、幸せなのかもしれない。


但し、困った事に、母さんがいなくなった事で、私の胸にぽっかりと、穴が開いてしまった。

今まで、母さんの為に生きてきた私は、今から何を頼りに、生きていけばいいのだろう。

まだ子供の私には、野菜も上手く作る事もできなかった。

売れるだけの野菜を売って、最初は暮らしていたけれど、それも底をつきた。


「お腹、空いた……」

よくこんな時は、売れ残った野菜を煮て、母さんと一緒に食べたなぁ。

だけど今は、その野菜も残っていない。

食べる物が無く、私の身体は見る見るうちに、やせ細っていった。


近所に人はいたけれど、皆、自分達の生活が手いっぱいで、私に声を掛けてくれる人なんていなかった。

まだ子供の私は、どうすれば良かったのだろう。

次第に、家から出る事も億劫になって、横になって寝る事が多くなった。

私、このまま死ぬのかな。

そんな事を、考えた。