しばらくして、帝が家臣を連れて、結子様の局にやってきた。

私の姿を見て、帝はギョッとした。

「結子。これは一体、どういう事だ。」

「この者は、妾のいない間に、悪事を働いたのです。そのお咎めです。」

「そうか……」

帝が私を見ている。

また帝を見ていると、はりつけが長引きそうだ。

私は、下を向いた。


その時だ。

「ん?そなた……」

帝が庭に降りて、私の側にやってきた。

「帝、そのような者に近づいてはいけません。」

「少し時間をくれ。確かめたい事があるのだ。」

私の顔をじっと見ると、帝は思い出したかのように、私に話しかけた。

「あなたは、いつぞやの女子か。」

私は顔を上げた。

「覚えているか。菓子をあげた私を。」


覚えてくれていた。

この三年間、片時も忘れた事はなかった。