どうしよう。困った。

女房達は私を見ながら、上着を片付けている。

「雑士女が羽織った上着等、捨ててしまいましょう。結子様。」

「いや、構わぬ。その上着は、帝が気に入って下さっている上着だから。」


あの上着を、あの美しい人が気に入っている。

どうせ捕まるのなら、もっとあの上着を堪能すればよかった。

私ははりつけになりながらも、そんな事を思ってしまっていた。


その原因を作った厚子は、ハラハラしながらこっちを見ている。

なぜ、厚子には何のお咎めもなかったのか。

それは、私が帝を見ていたからだろう。

結子様は帝と一緒にいて、それを感じていて、私にいじわるをしているのだ。


それよりもどうしたら、このはりつけを止めて貰えるのか。

どのくらい、はりつけになっていればいいのか。

私はそればかりを、考えるようになってしまった。

今日、一日だけならまだいい。

これが、二晩三晩と続いたら?

私は、ぞっとした。