そういう事を繰り返しながら、顔合わせは続いて行った。

そして成平殿の娘の出番になった。

「直ぐに帰されるだけには、なりたくないな。」

成平殿は、ため息をつきながら、向かって行った。

成平殿の娘は、顔合わせの時間が長かった。

きっと、橘の姫君も、気に入ったのだろう。

帰って来た成平殿は、表情が明るかった。


「では次、藤原秀行殿。」

「はい。」

遂に、私の出番になった。

一目見て、帰されるのであれば、それでもいい。

私は部屋に入ると、橘の姫君の前に座った。

「妾は、結子と申します。そなたの名前は?」

「はると申します。」

頭を下げると、結子殿は手を、ひらっと返された。

「もうよい、下がって下さい。」

たぶん、私を気に入らなかったのだろう。

「いやしかし、もう少し話をするだけでも。」

父は反抗した。

きっと、納得がいかなかったのだろう。