という事は、ここにいる姫君たちは、結婚相手を探しに雑士女に?

私は、父を見た。

父は、ただただ頷くばかり。

もしかして、父も同じ意見なのだろうか。

成平殿が側にいるので、大きな声では聞けなかった。


「父上。もしかして、妾が結婚するのに箔をつけたいから、雑士女に?」

「ん?」

父は、それだけ言って、天井を見上げていた。

やはりそうなのだ。

父も父で、身分が低い事を、心配しているのだろう。

私は途端に、宮中のお勤めも、つまらないものに感じてきた。


「それでは、集まった方々、お一人ずつお話を聞きます。」

そして、身近な姫君と父親が、別室に呼ばれた。

すると、直ぐに帰って来てしまった。

「どうした?」

父が聞くと、その父親は困った顔をした。

「いや、橘の姫君が、娘を見た途端、駄目だと言いだして。」

それを聞いた周りの父親達は、がやがやし始めた。

「姫君は、顔で判断するのか。」

「なんの。ウチの娘は、顔はいいからな。」

「それで、阿呆者だったら、どうするつもりなのか。」