時は平安時代。

私は、平安京の端に生まれた。

父は幼い頃に、流行り病で亡くした。

残された母さんと私とで、野菜を売って生活している。


「はる。今日も野菜を売りに行くよ。」

「はーい。」

10歳になった私は、母さんと一緒に、野菜を売るようになった。

立派に野菜を売って、お金を稼いでいたけれど、そこに問題があった。


「ゴホッゴホッ!」

「母さん、大丈夫?」

母さんも、流行り病に侵されていて、よく咳をしていた。

勿論、そんな咳をしている母さんに、野菜を欲しいと言って来るお客はいない。

「さあさあ。今朝、うちの庭で採れた、新鮮な野菜だよ!買った、買った!」

代わりに、私が立ち上がって、野菜を売っていた。

お陰で、お金は半分しか貰えない。

でも、いいんだ。

母さんと一緒に、いられるんだから。